おいしい生活 −3−

            

マッカー 様





それから時間が前後すること ココヤシビーチにて

「んがーーっはっはっは! カーバじゃないの! 」
「そうだ ワポル様のおっしゃるとおり」
「さっさと武器庫のカギを返すんだ」

海に程近い丘の上で大きくデッサンが狂った三人組が
一人の少女を丘の先まで追い詰めていた
少女は全身黒い服に身を包み細身で長身
その輝くばかりのオレンジの髪は彼女の気性を物語る

「そんなの知らないわ! 私はどう見ても無害な か弱い女の子でしょ!?」
「...それを自分で言うかー!? フン まぁいい 意地でも取り返すからな!!」
「あんたたちなんかにあたしの体 指一本触れることができるもんですか!」
「生意気な! ワポル様に向かってそんな口ききやがって!」
「バッカじゃないの! ドクトリーヌに森から追い出されてここまで流れてきたくせに! 
バーカバーカ! 低脳!」
「こいっつ...いわせておけば...! やっちまえ! チェス! クロマーリモ!」
「「ははっ」」

「フン そっちがクロマーリモならこっちは本家ミドリマーリモ出してあげるわよ!」
少女は深く息を吸い込み大きな声で叫び声をあげた!

「きゃーーーー」

にしてはかなりゆとりのある叫び声だったが...
それはともかく
その瞬間
少女と男たちの空間が大きく歪んだかと思うと
熱風とともに緑頭の男が映画のように片ひざをつき現れた!
そう...あいつである

「なんだー こいつはー!!」
「ワポル様召喚術ですよ! この女やはりまちがいなく!」
「ココヤシの魔女です!」
「ふっふっふっ... 誰が呼んだかその名前...! ココヤシの魔女のナミさんとはあたしのことよ! ってなわけで やっておしまいミドリマーリモ!!」
「誰のことだそれは...お前...また追われるようなことしたのか...」

突如現れた男の後ろに隠れながらもその態度はかわらない少女の名はナミといい
このココヤシ唯一の魔女であった 
そして彼女に呼び出されたミドリマーリモとは...あのゾロ...だったのだ

「また...ってなによまた!って!失礼しちゃうわね...とにかく がんばって!」
「ち...しょうがねぇなぁ...」

ゾロは不承不承ながも男たちのほうに向き直りその眼光するどい目をいっそう鋭くして
その男たちに向き直る

「あー これも不本意なんだが とにかく呼び出されたからには おめーらを片付けねーといけねーわけでよ 悪ぃが刀の錆になってくれ」
「なっ、なんだ お前は!」
「ワポル様こんな奴は我々だけで十分ですとも」
「そうです ワポル様はそちらで」

「竜巻き!!!」

「「「ぎゃーーーーーーー」」」

あわれ台詞も終わらず海の彼方遠くの星となった三人...

「おーよく飛ぶなー」
「あんた...少しは間ってものを取りなさいよね...」
「おめーが呼び出したんだろーが 
まぁ丁度いいや 今回は戻らずにこのまま待たせてもらうか」
「何よ丁度いいって?」
「あー 実はだな お前に用があるやつがここにくるんだわ」
「私に?」

この気の強い魔女と呼び出された剣士の因果関係は少々過去にさかのぼる

************


「ナミ あなたはもう一人前の魔女になったのよ いつ召喚獣を決めるの?」
「うーんマキノ先生...そうは言うけどなかなかねー 一人にひとつっていうのが決めかねるものなのよねー」

一般的に魔女とは一部を除いて肉体派ではない
それによって必要となるのが自らの身を守るためにかならず何らかの召喚動物や召喚獣と契約しているのだ

「ねぇ マキノ先生はどうやって契約したの?」
「え? 契約っていうか...気がついたらそうなっていたのよね...」
「えーーー 何よそれ ぜんぜんアドバイスになってないし!
大体一人にひとつっていうのがムヅカシイのよ!
これはなんとかならないの?」

ナミのカウンセラー教師マキノはかなり強い赤髪の召喚獣を持っているという噂である

「そうね ひとりにひとつというのは 絶対ではないのよ
現にドクトリーヌに至っては魔力が半端じゃないから
召喚できるのは数多くあるらしいわよ 要は自らの技量と魔力の許容量ね」
「フーン 美人で大金持ちになると男を多く囲えるようなものね」
「...ナミ あなた一体どこでそういう知識を得てくるの...」
「ノジコが言ってた」
「...」

もはや魔力は一人前のナミはともあれこの世界を卒業して
生まれ育ったココヤシビーチに戻ってきたはいいものの
魔女だというだけで襲ってくる輩も後を絶たず正直辟易していたそんなある日

「あー...なんでビーチに出るんだ...?」

間違っても人が通る道ではない藪の中から
それと同化した色の髪を持つ男が日光浴していたナミの前に突如現れた

「な、何よあんた! 誰? ここはプライベートビーチよ!?」

当然驚くのはナミ

「あー...悪ぃんだが メリーランド宮殿はどっちだ?」
「はぁ?」
「いや実は少しばかり道を誤っちまったみたいでなー」
「少しどころか...あんた一体どこから来たの?」
「あー...東だ」

けれども指さすのは西の方角

「つまりは迷子?」
「ちがう! 少し...道を外しただけだ...」
「もーまぁいいわ とにかくここはあんたの向かうとこからかなり離れているから明日の朝に着くってのは無理ね 残念ながら というわけでお帰りはあちら」
「明日までに着けないのか!?」
「あーもう無理無理 あんたが一体何しに行くのか知らないけどまず無理...」
「お前 狙われてるぞ」
「え...?」

急に会話の内容を変えるその男

「振り向くなよ お前の後方のその木の影に潜んでいやがる 一人...か
この殺気は明らかにお前を狙っているぜ...」
「...あー...またか いいのよ しょっちゅうある事だから 自分で何とかするわ」
「そう...できればいいがな 相手かなりできるやつだぞ」

ナミは思う
いつも来る程度の相手なら簡単に追い払うことができる
だけどそれはいつもとは限らない
それに大体いきなり出てきたこの男 調子よくご親切にも狙われているなんて言って
本当はこいつもグルかもしれない 
それなら

「そうね なら...あんたが何とかしてよ」
「はぁ!? 何で俺が! 大体俺は人に使われるのが嫌いなんだ! 
悪いが他当たってくれ」
「メリーランド宮殿に今日中に着くようにしてあげるって言っても?」
「そんな簡単に着けるのか? なら自分で行くぜ」
「バカね! あんた一人じゃ無理よ あたしじゃないと出来ないの!
とにかくホラ! そこの木の影にいるっていう物騒なの追い払っちゃってよ!」
「う...くそ」

そう言いのけると一言

「いいわね 約束したからね!」

苦虫を噛み潰したような男にむかってにっこりと笑った

「ち...めんどくせぇな...
おい! そこの! 出てこいよ 俺と勝負しようぜ」

ナミを後ろにかばうようにして立つと腰に下げていた個性的な剣三本をゆっくりと抜く

「...気配でわかってしまいましたか...
魔女一人殺れると思うと 気がたかぶってしまいましてね」

男に言ったとおり その気の影から出てきたのは黒いスーツをきちんと着こなし
合わないサイズのせいかずれてくるメガネを上げもどしながら立っている
そんな一見紳士的な風情の男だった
だがその両手には自らの腕よりも長い鋭利な刃物を猫の爪のようにはめ込んでいた

「てめぇは... 請負人のクロだな」
「そんな事は重要じゃない 私はそこの魔女の死体だけが必要なのだ」
「薄気味の悪ぃやつだぜ」

今までの自分を狙ってくる相手とは格段に力の差があるであろう相手が出てきたのに驚きを隠せないナミだったが その一方である画策が脳裏にあった

「ハァッ!」

二人同時に動き火花散る空間
そしてその音
決して止まってつばぜり合いなどしない 瞬く間もなく残像すら残すその手合い
手数の多いクロという男をあの三本の剣で見事に捌ききっている
そして

「フ...それならこれはどうかな」

ふと手を止め間合いをとったクロはだらりと両手を下げ
それまでとは異なる呼吸をし始めた
かと思ったその瞬間

「杓死!!」

そう言ったクロの姿がふと消える
だがその一体に不気味な音と共に木や岩が削れ始めた
クロの姿は全く見えない

「なかなかやりやがるな...」

剣を構えたままナミの側まで戻ってくると 何か気配を探ろうと
周囲の空気を読み始める
ナミはこの不気味な状況にあって 不思議なことにあまり恐怖しなかった
自分の周りのもの パラソルやそのテーブルが削れ破壊されても
ただその大きな目をますます大きく見開きこの目の前の男が次にすることを
一瞬たりとも逃さないよう興奮気味で見つめていた

「三千世界!!」

そして男の気が一瞬収束したかと思ったその瞬間
今まで目に見えなかったあの猫の爪がガラスが割れたのと同じように
粉々になって砂浜にきらきらと落ちていく映像だった
まるでスローモーションのようにふりそそぐその爪は
それを粉砕した男の背中と重なってこの世とはまた別世界の出来事のような
そんな錯覚をナミに見せた

「く...」
「帰りな 獲物がねぇてめぇとやってもつまらねぇ」

息も乱さぬ男は両腕に深い傷を負ったクロにそう言い自分の剣をあるべきところへと戻した
クロはまだこちらを睨んだままだったが
強い風がひとつあたりを包むと同時にその場から消えていた
血の匂いを残して

「ちょっと! また私を狙いにきたらどーするのよ!」
「あー...そんときゃそんときだろ
それよりお前さっき言ったこと覚えてるだろーな」
「あぁ 今日中にメリーランドに連れていくってことね えぇ覚えているわよ」
「ならさっさとそうしてくれ」
「だったらホラ!」

チェアに座ったままのナミは両手を上に差し出す

「あぁ? なんだ?」
「なんだ? じゃないでしょ? ここはビーチであたしは裸足なの!
さっき誰かさんが思いっきり危険物このビーチにばらまいてくれたおかげで歩いて家に帰れないじゃない! だから」
「要するに...お前を担いで運べってことか...」
「察しはいいじゃないの」

確かにナミは裸足でそのチェアの周囲には無数の飛び散った爪の破片
目に見えるだけでもかなりあるが
細かい破片となるとまだかなりあるだろう
これが彼女の足を傷つけるのは容易に想像がつく

「しょうがねぇな...」

しぶしぶながらも彼女を抱いて 彼女のナビのとおりその家へと向かった

「ここでいいわ ちょっとそこに座って待ってて」

みかん畑に囲まれた小さなけれども一人で暮らすには大きすぎる家
そんな家がナミの城だった

彼女は机の中をなにやら探し始め
男は部屋中心のソファにどっかりと座りこむとごろりと横になった

「あんた人んちに来て即効それじゃ ろくなしつけしてもらってないわね...」

ペンと紙を持って邪魔くさそうに男をけり落とすナミ
当然床にごとんと落ちるわけで

「痛ってーな! テメなにしやがるんだ...」
「まぁまぁ それよりさーまだあんたの名前聞いてなかったわね
名前なんて言うの? あ あたしの名前はナミ」
「...ゾロ ロロノア・ゾロだ」
「そ じゃーここにさーサインしてくんない?」
「サイン? なんでそんなするんだ」
「このサインはねー これからあんたをメリーランド宮殿まで送りますよーっていうのと
さっき来たような危ない連中から私を守りますよーっていうサイン」
「...前半は理解できたが その後半はなんだ...」
「バカねー あんたがさっき逃したあのクロっていうのが今度は仲間率いてやってくるかもしれないでしょー そうなったらあんたの責任だからね!」
「なんでそうなるんだ...」
「あんたもこんなか弱い女の子がたった一人で追い払えるなんて思ってないでしょ?」
「...さっきは全然平気だと言っていたような気がするが...」
「そんなことないわよ! あー...そうそんな血も涙もない男だったってわけね...」
「う...だがずっとここに居てそいつら来るまで待ってるわけにはいかねぇ」
「大丈夫! あんたはメリーランドに行くんでしょ?
何かあったら私が呼ぶからその時に来てくれればいいの」
「おーそうかそれならいいぞ」
「じゃ ここにサインして」

にっこりと満面の笑顔でその紙面の最後の空白の行を指さすナミ
そして紙面に書いてある契約文を良く読まずにサインするゾロ

「...っとこれでいいんだな」
「うん 完璧」

なんとか文字と読める文字で自分の名前をサインしたゾロ
すると突然その紙から桜の花びらと共に突風がこちらに吹き始めた

「なんだ!?」

思わず刀を構えるゾロ

「大丈夫 何でもないから その物騒なモノしまってよね」

それに対して少し興奮気味のナミ
部屋中に花びらが舞ってくるとだんだんとそれが何かを形つくりはじめる

「あたしを今ごろ呼び出したのは一体誰だい」

出てきたのはファンキーなファッションをした高齢のレディだった

「あたしよドクトリーヌ」
「なんだい お前さんかい ははぁ やっと決めたんだね」
「そういうこと」
「なんだ一体どういう事だよ」

思わず後ざするゾロ

「フンこいつかい なんだい剣士じゃないか いいのかいこんなんで?」
「...こんなん...」
「いいの! で これが召喚契約書ね」
「確かに この緑頭...名前はロロノア・ゾロかい...もう少し読める字で書きな!」

ぶつぶつ言いながらもその渡された契約書を確認し 上から何やら書き始めるドクトリーヌ

「ホラこれが終了証書のサインだ これであんたも一人前の魔女だ」
「ありがとう ドクトリーヌ!
ってゾロそういうわけだからこれからもよろしくね!」
「...これからもって...さっき召喚がどうこうお前言っていなかったか?」
「あぁ これね そうなの ちなみに召喚されるのはアンタだから」
「なっ!! なんでそうなるんだ!」
「あんたサインしたでしょう? ほらここ
これ私の召喚にいついかなる時にも応じるってサインだから そういうことでよろしく」
「...さっきとは明らかに違うこと言っているじゃねーか...」
「アラ一緒じゃない 一般人の願いを叶えてあげるってのは魔女の特権よ あんたの願いは今日中にメリーランドに着くことでしょ? 叶えてあげるわよ その願い」
「ちーーーがうだろう!! そりゃ送り出してもらうのは確かだが
その前のいついかなる時でも召喚に応じるってどういうことだよ!」
「そういうことよ? あんた...さっき約束したわよね? 
呼び出すならオッケーとも言ってたわ」
「た...確かに...言っちまったが...」
「でしょ? まさか嘘なんて言わないわよね? ま この時点でキャンセルは不可だから
もし契約破棄なんてことがあったら あんたのその持っている剣は没収の上 剣技全てを失うことになるからネ!」
「そんなバカなことがあるかよ!」
「あるんだよバカだね そのために私が呼び出されたんだろ」
「なんだ婆さん ってかこの婆さんも一体何ンなん...」

最後まで言い終わることが出来ずドクトリーヌの右ストレートによって空を飛ぶマリモ

「口の効き方も知らないようじゃ これから苦労するよ ナミ」
「それは後から考えるわよ しっかしアンタもバッカねー ドクトリーヌの事知らないの?」
「...く...くそ...知らねぇよ...」
「大魔女のドクトリーヌって言っても?」
「聞いたこと...あるな なんでもこの世で最高の魔女ってやつだろ」
「それが彼女よ」
「...最高にタチは悪そうだけどな...」
「余計な言葉はつつしんだほうが身のためよ 彼女は全ての魔女の上に立つ『契約の魔女』だから」
「なんだそりゃ」
「本当にお前は頭悪いんだね... ナミ本当におまえさんはこれで良かったのかい...?」
「召喚獣に知性は求めてないからいいの」
「知性...」
「いいかい緑の よく聞きな
あんたはもう契約という術に縛られたんだ
『メリーランドに送り届けてもらう代償にナミの召喚に永久に応じる』っていう契約にね
もし契約破棄になったら というよりまずそれは出来ないとは思うが
ナミの言ったとおり あんたの今まで培ってきたその剣技はその代償としていただいとくからね」
「なんだそりゃーーー!!」
「そういうこと ほんじゃーま約束どおり ひとつナミさんが腕をふるってあげるわね
メリーランドのー...そうね 宮殿前に送ってあげるわ...」
「待て! そんなことなら自分で...!! ってか永久って...!!」
「問答無用!! メリーランドまでいってらっしゃーーーい!!」
「待てーーーーーーーーーー...」

ナミが持っていたクリマタクトをひとつ回すとそれにかき消されるようにゾロの姿はその場から消えた

「さてとあたしも帰るかね 最近やっかいなペットあずかっちまってね」
「へぇー めずらしーわね ドクトリーヌが...」
「...あんたも口がへらないようだね」
「師匠が師匠だもん」
「フン言うじゃないか じゃあたしゃ行くよ」
「うん ありがとうー」

懐から取りだしたメスで何もない空間にすっと上から裂くとその空間がまるで紙のように切れてその向こうにはこことは異なる風景が広がっていた
ドクトリーヌがそこに入るとその裂け目もまた音もなく自然に修復した

一方ここはメリーランド宮殿前
そこには大きな張り紙がしてあった

『求む人材! 君こそタフガイ! 雄雄しいメリーランドの獅子となれ!
 志願者は新兵舎1フロアのセンゴクまで』

その前の地面にいきなり現れたたきつけられた緑髪の剣士

「ぐあ!!...」
「なんだ貴様 あやしげな...! 一体どこから沸いて出た!?」

宮殿前を警備の為ちょうど通りかかった兵士二人の前に突如として現れたため
即効尋問をうけるゾロ

「まぁまてチャカ ...見てみろアレを...」
「なんだペル... これ...は」
「くそなんだ! じろじろ見やがって!」
「お前...どこぞで魔女と契約してきただろう...」

とっさにさっきの光景がうかぶゾロ

「...魔女なのか妖怪なのかしらねぇが 確かに妙なのと会った...」
「そうか それでどんな契約をしたのか知らないが お前...これからが大変だな...」
「なんだその目は!? オレをそんな目でみるなー」
「お前...気がきがついてないのか?」
「何がだよ...」
「その耳だ」

ふと耳に手をあてるとさっきまでは絶対なかったピアスが左耳にみっつきっちりついていた

「なんだこりゃ...」
「それは魔女との契約の証だ 普通はひとつなんだが...」
「みっつも着けているところを見ると...よほど腕のたつ魔女か...」
「証...」

まるで悪夢のようによみがえるあの魔女ふたりの勝ち誇った顔...
まちがいなく現実だったという事がひしひしと思い返される

「クソーーーーーーー!!」

とまぁ...なかなか衝撃的な出会いを果たした二人だったが
ゾロは本人の最初の希望とおり無事その日のうちにメリーランドにたどり着くことができ、
かねてより志望していたメリーランド剣士の一員となった
言うまでもなくその志望動機はサーの称号をもつメリーランド...いやこの世界一の剣士
『ジェラキュール・ミホーク』との手あわせに他ならない
その彼の直属の部下になったのは皮肉としか思えないが...

勿論

その後ココヤシの魔女から何かあるたびに召喚される毎日を送っているのは言うまでもない
それはもう、 例え寝てようが食べてようが本人の意思に全く関係なく! 
始めこそかなり抵抗はしたものの
(例えば どこぞに隠れてみたり 柱に一日中しがみついてみたり)
結局はそんなことは無意味でかえって体力を下手に消耗するということを彼なり
に学習し今ではあきらめの境地に至っている というよりもはやそれもひとつの
修行と考えている節がある 


*************


「ってことでよ ドラムのばあさんがおまえんとこに行けって言ったからこっちに向かっているわけだ あー話つかれた...」

再びここはココヤシビーチ ナミの家
ひととおりゾロなりに話の説明をしおえたところである

「本当にバカみたいな内容ね...
とうとうルフィのあの食欲もここまできたわけね...
傾国の美女ってのは聞いたことあるけど傾国の食欲なんて聞いたことないわよ...」

「警告の食欲? あーたしかにありゃ警告だわ」
「あんたがそんな難しい言葉知っているなんて以外ー」
「まぁな オレも知性派になってきたからな」
「過去にこだわる男は成長しないわよ」
「...フン」

なにはともあれ この魔女と剣士二人の最強タッグに太刀打ちできる不届き者は未だ現れないままであった

「まぁ もうすこしすればここにたどりつくことができるでしょ
そのバカな問題も少しばかりだけど心当たりあるし 力になれるかも」
「...無償の奉仕というものをおまえは知っているか...?」
「少なくとも私の辞書にはないわね この貸しは高くつくわよ?」
「この貸しはオレじゃねぇ! 国王かあのばあさんにつけろよ!」
「結局国王から勅命うけたのはあんたなんでしょ? あーらら」
「オレじゃねぇーーー!!」

剣士の哀れな嘆きと共に今日もまたココヤシの日が傾きます
ルフィたちはいずこに? そして魔女のたくらみとは?






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