Crossroad in the Ancient Capital  −2−
            

みづき様






「もう一度聞くが・・・。」
「・・・はい?」
「何であんたが此処に来る必要がある・・・。」



地図でそれぞれの場所を確認し、アスカ・ゾロに続きルティナ市警を後にしたユト。
『](10)D地区』にあるコーヒー・チェーン店『リッツ』へやって来たのはそれから約15分後・・・なのだが、店内へ入ってすぐ、彼は眉を寄せると隣を見た。

「え?だって状況を知ってるリウさんにルティナ市警にいて貰えれば
向こうと連絡を取る事になっても問題ないじゃないですか。」

「確かにそうだが・・・だからってあんたが此処へ来る必要はないだろう・・・。」
「あら・・・刑事は2人で捜査するものでしょ?」
「・・・。」



その隣にいるのは此処にユトと来る事になったリウ・・・ではなく、ナミで
ユトとは対称的に彼へ笑顔を向けている。

実は彼女はアスカとゾロが部屋を出た後、半ば強引にリウへ頼み込み
殺害現場であるこの場所へ向かうユトに付いてきていた。



「ったく・・・どうしてこう、探偵を男に持つ奴は出しゃばりなんだか・・・。」
「・・・は?」

すると今度は、そのナミが眉を寄せユトを見る。

「いるんだよ・・・ここにも探偵が。
しかもその男の為に無茶する女が・・・今のあんたとあの探偵そっくりにな。」

「あ・・・あはは・・・。」

そして聞くなり複雑な表情を向けるナミ



・・・その2人の元に店員がやって来たのは、それからすぐだった。



「お待たせしました。すみません・・・ミルが出勤して来るのはやはり夜で20:00からだそうです。」
「そうですか。」

店員の言うミルというのは、この店の女性従業員。
ユトはまず第一発見者から話を聞こうと店員に尋ねたのだが
シフトが夜勤の為、彼女は店にいなかった。

「・・・あ。けどラミスさんならあの日、この位の時間にも店へ来ましたよ。」
「そうなのか?」
「はい。そう言えば何か変だったな・・・。」

そして店員はユトに言いながら、思い出す様な仕草をする。

「変って・・・何か様子が違ってたんですか?」
「そうじゃないんだけど・・・あの日ラミスさん、いつも行ってる筈の茶店の場所聞いて来たんすよ、俺に。」
「・・・喫茶店ですか?」

「そう。ラミスさんコーヒー好きだし記者って仕事だから
ウチの店だけじゃなくて、あちこちの店に行ってるって前言ってたんすよ。
なのに聞いて来たんで変だなと思って。」

「あの・・・そのお店って何処ですか?」
「『\(9)D地区』のパープルっていう喫茶店。」

ユトに続いて店員に聞いたナミは、ユトと顔を合わせると店員に一礼し店を後に



・・・その同時刻、『Z(7)D地区』にある被害者宅のアパートでは
ひとまず部屋を見終えたゾロとアスカが、管理人へ鍵を返していた。



「・・・どうです?何か分かりました?」
「いえ、特には・・・。」

ちなみにゾロの車はルティナ市警にあり、ここまではアスカの車でやって来た2人
・・・そのアスカを見ながら管理人は言葉を続けた。

「そうですか・・・私も思い出した事があったんで、何か分かればと思ったんですが・・・。」
「はい・・・?」

「あの時は急に警察の人が来たもんだがら、驚いて言うのをすっかり忘れてたんですけどね
・・・ラミスさん、あの日変な事私に言って来たんですよ。」

「変な事?」
「・・・。」

きょとんとした表情なままのアスカに、聞くなり眉を寄せるゾロ。

「えぇ。昼頃だったと思うんだが
急に私の部屋へ顔を出してきて店へ行って来るって言うんですよ。
サンだとかハンだとかって・・・。」

「もしかして・・・アンですか?」
「それだそれ、その店の名前。其処へ行くって、私に言うだけ言ってったんですよ。」
「そうですか・・・有り難う御座いました。」

そしてアスカは一礼すると管理人と別れ、同じくゾロも後へと続く。

「おい・・・そのアンって店は何なんだ?」
「『](10)F地区』にある、コーヒー豆を扱って売ってるお店です。」
「コーヒー?」

「はい。このルティナ市はコーヒーの需要が多くて
特にX(5)から](10)地区には、コーヒーの専門店や喫茶店が多いんです。
とにかく行ってみましょう。」



ところがその途中、車に乗り込む手前で動きを止めるゾロ。

「・・・ロロノアさん?どうしたんですか?」
「いや・・・。」

彼は一旦サイドミラーを目にすると車に乗り込み
そのまま続いて車へ乗ったアスカの運転で、そのアンという店へと向かったのだ
った。



「えぇ・・・ラミスさん確かにあの日来られて、そんな様な事聞いてきました。
『[(8)D地区』のポアロは何処だ・・・って・・・。」



変わってユトとナミがパープルへ着いたのはリッツを出て5分程
・・・全く同じ事を聞かされた2人は再び顔を合わせていた。

「他に何か変わった事はなかったか?」
「いえ、特には・・・。」

そして店を出た2人は、揃って同じ様な表情になる。

「どういう事だ・・・?」
「次のお店で3件目・・・変ですよね?」
「あぁ。・・・とにかく行くぞ。」



そんな2人が車に乗り込んでから約10分後
・・・アンではアスカとゾロも同じ様な表情を店の者へ向けていた。



「え・・・?」
「レッド?其処もコーヒーの店なのか?」
「えぇ・・・専門店ですよ。知ってる筈なんですけどねぇ・・・ラミスさん、かなりのコーヒー好きだから。」

そのまま店を出ると、こちらもアンの店先で顔を合わせるゾロとアスカ。

「どういう事だ・・・?」
「しかも豆は買わずに店の場所を聞いただけ・・・変ですよね?」
「あぁ。とにかく行ってみるしかねぇな・・・。」
「はい。場所は隣の『](10)E地区』なんで、すぐです。」



その頃同じく、喫茶店・ポアロへ着いていたユトとナミ・・・聞かされたのは今
までと違う事だった。

「次が最後・・・?」
「はい。次が最後・・・ラミスさんを尋ねて来た人がいたらそう伝えてくれって
・・・。」

そのまま店員は一礼すると、接客の為2人の元を去っていく
・・・ユトが気付いたのはその直後だった。

「そうか・・・。」
「え?」
「家だ・・・この先の『Z(7)D地区』には害者の家がある。」
「あ・・・!」

ユトが言った事でナミも気付くと、彼は再び店員に声を掛けた。

「おい・・・!」
「あ・・・はい。」
「ルティナ市の地図はあるか?」
「はい、ありますけど・・・。」
「悪いが貸してくれ・・・それと、そこの席もな。」



そしてその頃、レッドでは



「・・・えぇ!?それは間違いなんですか!?」

「あぁ。14:00頃だったかな〜・・・リッツの場所を教えてくれって。
知ってる筈なのに何で聞いてくんだって言ったんだけどよ。」

・・・アスカとゾロが殺害現場であるリッツの名前を聞いていた。



「どういう事なんでしょう・・・。」
「つまり害者は、その14:00過ぎと死亡時刻の2回同じ店へ行ったって事だ
。」
「あ・・・そっか。そうですね・・・。」
「しかも、こんなまどろっこしい事してるって事は・・・。」
「まさか・・・ユトさんとリウさんも、同じ事になってるって事ですか?」
「だろうな。」

すると言うが早いか、そのまま店員を見るゾロ

「悪ぃ・・・その席貸して貰うぞ。」
「あ・・・はい。」

・・・そのまま近くの席に着いたゾロは、向かいの席に座るアスカに続けて声を掛けた。

「なぁ・・・車にこの街の地図入ってねぇか?」
「え・・・地図ですか?」
「あぁ。これは多分害者が残したダイイング・メッセージだ・・・それも大掛かりのな。」
「そ・・・それはホントですか!?」
「分からねぇが・・・向こうも似た様な事になってるとすりゃ、可能性はある。」
「わ・・・分かりました、ダッシュボードにあるんで持って来ます。すぐ向こうにも電話してみましょう。」



そうして店を慌てた様子で一旦出たアスカ
・・・彼からの電話をユトが受けたのは、それからすぐだった。



「・・・何!?そっちもそんな事になってたのか。」
『はい・・・。やっぱりユトさんの方もそうだったんですね。』
「あぁ。」

電話を受けながら驚いた表情になっているユト
・・・アスカはそのままユトへ話を続けた。

『それで、ユトさんの方はリッツからどう行きましたか?』
「・・・殺害現場からか?」
『はい。もしかしたら大掛かりなダイイング・メッセージかも知れないって、ロロノアさんが・・・。』
「成程な。リッツからなら・・・。」



そしてリッツから今いる店ポアロまでの場所を話すユト
・・・アスカはそれを聞きながら、警察手帳に書き込んでいた。



「次が最後・・・ですか?」
『あぁ。この先にあるのは害者宅だ・・・確かに何かありそうだな。』
「え・・・でも害者は自宅からアンにも向かってるんですよ?変じゃないですか?」
『そこに何かあるんだろう・・・害者宅からアンまで多少距離もあるしな。』

書き込まれた警察手帳には
『](10)D地区・リッツ』 『\(9)D地区・パープル』 『[(8)D地区・ポアロ』 『Z(7)D地区・害者宅』とあり、そこで一旦手を止めたアスカ。

「・・・!?」

その文字を見たゾロは、すぐに警察手帳を手にし自分の方へと向けた。

「・・・ロロノアさん?」
『どうした?』
「あ・・・な・・・何か急にロロノアさん考え込んじゃって・・・。」



すぐにアスカからペンを預かると
『Z(7)D地区・害者宅』 『](10)F地区・アン』 『](10)E地区・レッド』・・・と下に追加で書き込むゾロ。
更に彼が下へ書き込んだのは、縦横の線だった。



「考え込こむ・・・?」
『はい・・・何か難しそうな顔してます。』

そしてアスカに言いながら目の前のナミを見るユト・・・彼女もまたアスカの言う難しい顔になっていた。

「こっちもだ・・・携帯見たまま黙り込んでる。」
『え?リウさんがですか?』
「あぁ・・・そう言えば話してなかったな。」

リウが此処にいないのを知らない為
彼がルティナ市警にいる事・・・代わりにナミがいる事をアスカに話すユト



・・・その後、先に気付いたのはゾロの方だった。



「成程な・・・そういう事か。」
「え・・・?」

ゾロは言うが早いか口端をあげると、警察手帳と地図をアスカの方へ向ける。

手帳に書かれた図と地図に載っていた『](10)G地区』の『ある場所』
・・・それは全く同じ形をしていた。



『あ・・・あーーーーーっ!!!』
「っ・・・。」

急にアスカが大声を上げた為、眉を寄せると一旦携帯を耳元から話すユト。

「何だ、急に・・・。」
『お・・・同じなんです、ユトさん!』
「は?」

彼が図の事と地図の『ある場所』を聞いたのはすぐで
ユトはそれを確かめると、地図上のその場所へ指を置いた。

「成程・・・どうやら其処に例の証拠はありそうだな。」
『はい。』



「あーーーーー!!!」



するとアスカと全く同じに大声を上げるナミ
・・・彼女はすぐ、携帯を手にしているのとは反対の、ユトの左腕を掴んだ。

「ユトさん・・・無い!無いんです!」
「は?」
「す・・・すみません、携帯貸して貰えますか?」

そのまま眉を寄せているユトに慌てた様子のナミ・・・アスカが次に聞いたのは彼女の声だった。



『もしもし、アスカさん?』
「え・・・ナミさん?」

アスカがナミの名を呼んだ為、こちらも彼を見ると眉を寄せるゾロ

『すみません、ゾロに代わって貰っていいですか?』
「は・・・はい。」

・・・彼がアスカから携帯を受け取った時、眉間の皺はルティナ市に来て一番深くなっていた。

『もしもし、ゾロ?』
「・・・なんでおめぇが其処にいやがる、ナミ!」

言うが早いか大声になるゾロ・・・しかし電話の向こうのナミは全く気にしていなかった。

『リウさんにルティナ市警にいて貰ったの。それより分かったのよ、あの部屋の事!』
「いて貰ったじゃねぇだろ、テメ・・・あ?」

『無いのよ、あの部屋・・・パソコンが無かったの!
記者なのに自分のパソコンが無いなんて変でしょ?きっと持ってったのよ、犯人が!』

「・・・!?」

それを聞いた事で写真を見た時の違和感が無くなったゾロ・・・ナミはその彼に
言葉を続けた。

『・・・けど、何でパソコンを持ってったのかまでは分からないのよ。
さっきビビからメールが来て気付いたんだけど・・・。』

「・・・。」



『・・・ちょっとゾロ?聞いてる?』

「あぁ。害者が自分のパソコンに証拠を残しとくなんてことはしてねぇだろうし
別の理由で持ってったんだろ。」

『別の理由って・・・まさかあんた、分かったの!?』
「まぁな。いいか・・・お前は其処にいるユトって奴と大人しく戻ってろ、いいな。後はこっちでやる。」
『え!?ちょっと、ゾロ!?』

そして言うが早いか通話を切ると、携帯をアスカへ返すゾロ
・・・アスカはそんな彼を驚いた表情で見ていた。

「あ・・・あの・・・ロロノアさん・・・もしかして、分かったんですか?」
「あぁ。悪ぃがちょっとちょっと調べて欲しい事がある.。」
「・・・調べて欲しい事ですか?」
「あぁ。ひとつは害者が使ってたメールの履歴・・・もうひとつは携帯の履歴だ。調べられるだろ?」

「はい・・・リウさんがナミさんと代わってルティナ市警にいるみたいですから
連絡を取ってプロバイダと電話会社をあたって貰えれば、すぐ分かりますけど・・・。」

「・・・分かった、頼む。こっちも行くぞ。」
「あ・・・はい!」



そうして頷くと『](10)G地区』の『ある場所』へ向かう為店を後にするゾロとアスカ
・・・一方時同じくしてポアロでは、ナミが携帯をユトへ返していた。



「ったく・・・何よ、あいつ。」
「どうした・・・?」
「後は向こうでやるから戻ってろって。」
「まぁ、そうだろうな・・・わざわざあんたを来させる訳はないだろう。」
「う・・・それはそうですけど・・・。」

携帯を返した後も、納得出来ないのかユトに言うと独り言を続けるナミ。



・・・ところが。



「どうやら・・・こっちも行った方がよさそうだな。」
「え?」

急にユトがそう言った為、ナミはすぐ顔を上げると驚いた表情で彼を見た。

「此処からだと、戻るより向こう2人に合流した方がてっとり早い。」
「・・・?」

外を見ながら続けて言うユトの意味が分からず、そのまま首を傾げるナミ。

『・・・あぁ。・・・そうか・・・分かった。
こっちも頼みがあってな・・・これから言うトコへ何人かよこしてくれ。其処にアスカ達もいる。
あぁ・・・そうか、分かった・・・。場所は『](10)G地区』の・・・。』

電話を始めたユトを前に同じ方角を見たものの其処には何もなく
彼女は再び不思議に思うのだった。






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