誕生祝い (TAKE 2)

            

森魚 様


そんな訳で不発に終わった誕生日祝いですけれども、そんなことでへこたれる一同では
ありませんでして、次なる出番は自称天才・ウソップ様じゃなかろうか!! と、いう話で
御座居ます。

彼の良い所は、実に器用な事で御座いまして、殊、絵の才能たるは誰もが認めるところ
で御座居ます。
例えば、信念の象徴とも呼ばれる「海賊旗」で御座居ますが、何を隠そう!この羊号の
それは、ウソップ青年によって描かれたものなので御座居ます。
グランドラインの波風に負けることなく たなびかせて今尚、健在で御座居ます。
このような彼の得手とするところを活かしましてですね、未来の大剣豪となるゾロ青年の
肖像画 を描いてはどうか? という意見が湧き上がったのであります。
ああ!これは妙案だ!!と、一同大喜びであり、当事者のゾロ青年もまんざらでもない
ご様子であられましたので、一縷の光明、平和的解決を見たわけで御座居ます。


「よ〜し、ゾロ。好きなポーズをとってくれて良いぞ。但し、動いてくれるなよ!」

ウソップ青年は嬉々としています。ゾロ青年も、和道一文字を掲げ(そう、リトルガーデン
での蝋の上でとったポーズです)力強く立っています。
しかし、皆様。ご存知の通り、それをおとなしく見ていられる仲間では御座居ません。
それはもう、仕方がない事なので御座居ましょう。

「ねぇ、どうせなら私も入れてよvv」
「ナミさんが入るなら俺も入るぜ!!」
「なんだよ、お前たち。俺も入れろ、俺も!!」

ゾロ青年を取り囲むかのように結局のところ、船員一同が枠の中に入ろうと押しかけた
ので御座居ます。
−と言うことで出来上がった絵と言うのは肖像画でも何でもなく、ただの集合絵で御座
居ます。
6人の船員ともうひとり(?)が楽しそうに笑って居りました。
今後、この船を語る際には持ち出される絵として残っていくに違いありません。 何の
異論も(そう、ゾロ青年からも…!!)出ることなく、キッチンに飾ってあるので御座居ます。

そうでした。少し言い忘れていた事が御座居ました。作画であるウソップ青年の姿を
どうするか?−という事で御座居まして、そこはさすが!!船長の出番で御座居ます。
彼の強い要望により、ウソップ青年はルフィ船長によって描かれてしまいました。
自画像を描かせてもらえなかった不運を呪うばかりの有様です。
今後、この船を語る際には持ち出される絵にはなるのでしょうが、そこにはひとつの謎を
残していくのでありました。 人なのか?そうであるならば、一体誰なのか?作者は?
なぜ、これだけ絵が違うのか?
後世の人々の関心の集まるところと成っていくので御座いましょう。浪漫ですね。


すっかりゾロの誕生祝というよりは、船員たちの宝物といった物になってしまい、一同は
複雑な心境になるばかりで御座居ます。
さしずめ、これ(みんなの宝物・集合画)を誕生祝とするわけにもいかないだろう…と、少し
義理堅い彼らでもある乗組員なので御座居ます。





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