このお話は「lecter street」「house sitting」「School Ghost Story」「encounter」「two people inference」の続編です。





hunt
            

みづき様






「明日には戻って来るんだね?」
「えぇ。その間この子をお願いします。」
「あいよ。安心して行っといで。」



ベルメールがロビンから受け取ったのは黒のトートバック。
バックの中にはシェリーの服が入っており
今日泊まりで出張するロビンは、その間彼女を預ける為ベルメールの自宅前へとやって来ていた。

「よろしくおねがいします。」

その隣にいるシェリーは言いながら頭を下げる。

「こちらこそ。今日は皆で夕飯だからね。」
「うん。」

集まって夕飯を食べるのは久々とあり、ベルメールに返事をしながら嬉し顔になるシェリー。



「やっぱりこっちにいたのか。」
「サンジお兄ちゃん・・・。」
「あら。」

仕事を終えたサンジがそのまま3人のいる玄関先へやって来たのはそんな時だった。

「下にいなかったからさ。ロビンちゃん今から行くんだろ?送るよ。」
「寝てないのに悪いわ。」
「平気・平気、慣れてるから。それにクロー市で近いしな。」

するとシェリーはすぐに母親を見上げる。

「おくってもらいなよ、お母さん。」
「そうね・・・じゃぁ、お言葉に甘えようかしら。」

そんな3人を見ていたベルメールもまた、サンジに声を掛けた。

「だったらシェリーも学校まで送ってやんなよ、サンジ。」
「勿論ですよ。あ・・・集まるの今夜ですよね?」
「あぁ。仕事休みだろ?」
「えぇ・・・。取り敢えず起きたら来ます。」
「あいよ。」



そのままベルメールの自宅を後にした3人が向かったのは
シェリーの通う『クラフ・エレメンタリースクール』。
ルフィ達が通っている『クラフ・シニアハイスクール』とはエスカレーター式に繋がった私立校で
ロビンと一緒に暮らすようになった彼女はこの学校へ転入していた。

「ちゃんと皆の言う事を聞くのよ、シェリー。」
「うん。お母さんも気を付けてね。」

車から降りたシェリーはすぐ母親に言うと
送ってくれた運転席にいるサンジにも声を掛ける。

「サンジお兄ちゃん有難う。」
「あぁ。ちゃんと勉強するんだぞ。」
「うん。お母さんの事お願いね。」
「任せなって。」

「じゃぁ、行って来るわね。」
「うん。行ってらっしゃい!」



笑顔を向け2人の乗った車を見送った彼女は、自分の教室1−Dへ。
席に着いてすぐ彼女の所へやって来たのは
ショートカットで頬にそばかすのある女の子だった。



「おはよ〜、シェリーちゃん。」
「あ・・・おはよ、アンちゃん。」
「ねぇ、ねぇ・・・今日もクリヤー先生休みかな〜?」

アンはそのまま机に両手を付きながらシェリーに言う。

「う〜ん・・・でも先生どうしたんだろうね。カゼじゃないみたいだし、何かあったのかな?」
「そうだよね。カヤ先生、何で先生が休みか昨日言ってなかったもんね。」

2人の言うクリヤーというのはクラス担任で、カヤは隣のクラスの担任。
担任のクリヤーが休みだった事で話をしていた2人なのだが
そんな時に教室へ入って来たのは、話しに出た2人の内のカヤの方だった。



「皆さん、席について下さ〜い。」

「あ・・・カヤ先生だ・・・。」
「ホントだ・・・。」

アンもシェリーもカヤに気付き、アンはすぐに自分の席へと戻る。
生徒皆が席に着いたのを確認したカヤは、挨拶の後すぐにHRを始めた。



「えっと、クリヤー先生ですが今日もお休みです。
私や他の先生達が今日も皆さんの授業を受け持ちますので
今日も1日宜しくお願いします。」

そして生徒全員の元気な返事が教室に響き、カヤは出席を取り始める。

「・・・。」

その間シェリーは、クリヤーが今日もいない事を不思議に思うのだった。



「ただいま〜。」
「お。お帰り〜。」

クリヤーの事を気にしながらも授業を終え、その後レーンへと戻ったシェリー。
ハイスクールの方は未だ授業中な為皆は戻っておらず
店内へ入るとベルメールが彼女を迎えてくれた。

「店長、何か手伝うことある?」
「あぁ・・・ありがとね。こっちは大丈夫だからゾロを手伝ってくれるかい?」
「・・・ゾロお兄ちゃん?」
「今丁度シャンクスが来てるんだよ。シェリーも会ってるから分かるだろ?」
「あ・・・うん。」

シャンクスとは会っているので、彼女はすぐに顔を思い出す。

「さっき顔出してったんだけどさ・・・事務所の方に行ったから頼むわ。」
「は〜い。」
「ゾロに聞けば何か言ってくれると思うから。」

そのままベルメールに頷いてレーンを出たシェリー。
隣にあるゾロの探偵事務所へと行ったシェリーは
入口の前に立ち一度見上げた後、ゆっくりとそのドアを開けた。



「こ・・・こんにちは〜。」

彼女が事務所へ入ると目の前のソファーに向かい合わせで2人が座っており
ゾロとシャンクスが揃って彼女を見る。
・・・先に声を掛けたのはゾロの方だった。

「どうした・・・カバンしょったままで。」
「あの・・・店長に言われて手伝いにきたの。」
「手伝い?」
「うん。刑事さんもいるからって。」
「そうか・・・じゃぁ悪い、コーヒー持って来てくれるか?そこにある。」
「は〜い。」

察したゾロに言われ、シンクが見える入口左の小さな部屋へ向かうと
温めてあるコーヒー缶を2つ取り出し、2人の前のテーブルへ置く。
そんなシェリーを見たシャンクスはすぐに笑みを向けた。

「有り難う、シェリーちゃん。元気そうだね。」
「うん。」

そして彼女もまたシャンクスに笑顔を向ける。

「・・・シェリーちゃんにも聞きたい事があるんだが、いいかな?」
「聞きたいこと?」
「あぁ。取り敢えず座って。」
「うん・・・。」

シェリーはそのままカバンを背から外すと、彼に言われた通りゾロの隣へ座った。

「此処に来たのはゾロに会うのもあったんだが、シェリーちゃんにも聞こうと思ってね。」
「聞く・・・?」
「そう。シェリーちゃん、クリヤーって人知ってるだろ?」
「うん・・・担任の先生だよ?」
「そうか・・・実はその先生が昨日から家に戻ってなくてね。行方不明なんだよ。」
「え・・・先生が!?」

しかしそれを聞き、彼女は身を乗り出してしまう。
シャンクスはそんな彼女を見た後ゾロを見た。



「一昨日の夜から行方が分からないらしくてな・・・奥さんから捜索願が昨日の朝出されたんだ。
『ライマー美術館』の館長と飲みに行くと出てったまま行方が分からなくなってな
・・・それでお前にもちょっと頼みたいと思って来た訳だ。」

「・・・ライマー美術館?」

聞きながらゾロは眉を寄せる。

「奥さんの話だとクリヤーは趣味で美術品にかなり詳しいらしくてな
・・・以前美術館へ見に行ってから館長とは仲が良くなって
良く飲みに行ったり時には家へ泊まりに行ったりしてたそうだ。
一昨日の夜もそうだと思ってたらしいんだが
電話を掛けてきた様子がどうも変だったらしい・・・。
朝になっても戻らなかったんで、捜索願を警察に出したって訳だ。」

「・・・で?その館長は何つってんだ?」

「話じゃ一昨日の夜には別れたらしい。
こっちでもバーの店員から聞いて裏は取れてる。
奥さんは館長からそれを聞いたのもあって捜索願を出したそうだ。」

「・・・。」
「そうか、それで先生は昨日も今日も学校に来なかったんだ・・・。」

眉を寄せたまま考え込むゾロに驚いたままのシェリー。
ゾロはその後すぐに、再びシャンクスを見た。



「それで、俺に頼みたいってのは?」
「あぁ。ちょっとクリヤーの事を調べて欲しいんだよ。」
「・・・どういう事だ?」

「実はライマー美術館は美術品を横流ししてる可能性があってな
・・・丁度別の課が調べてる所なんだよ。
そこへ今回の行方不明事件だ・・・何かあると思ってもおかしくないだろ?
それでウチの課との合同捜査になったんだが、クリヤーの事を調べるには限界があってな
・・・そこでお前に調べて欲しいって訳だ。」



「俺はそいつの事を調べるだけでいいんだな?」
「あぁ。何か分かったら連絡してくれ。」

隣で話を聞いていたシェリーは、表情を強張らせたままゾロを見上げている。

「お兄ちゃん・・・先生の事分かる?」
「あぁ・・・心配するな。ちゃんと調べる。」

ゾロはそんな彼女の頭に手を置くとそのまま髪を撫でた。

「驚かせちゃったね、シェリーちゃん。大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。」

シェリーはすぐにシャンクスを見ると小さく頷き
彼もまたそんなシェリーを見たまま言葉を続ける。



「シェリーちゃんは先生がいなくなる前に何か気付いた事ないかい?」
「気付いた事・・・?」
「そう。様子が変だったとか。」
「うぅん・・・いつもとおんなじだったよ。」
「そうか・・・。」

そして首を横に振る彼女を見たシャンクスは立ち上がり2人を見下ろした。

「じゃぁ、すまないが頼む。俺はこのまま戻るから何かあったら連絡してくれ。」
「あぁ。」

そのままシャンクスはシェリーが出した缶コーヒーを手にすると事務所を後にし
そんな彼を見送ったシェリー。
ゾロもすぐに立ち上がった為、シェリーは再び彼を見上げた。

「え・・・お兄ちゃん、もう行くの?」
「あぁ・・・夕飯までまだ時間があるからな。それまでには戻る。」
「あ・・・じゃぁ私も戻らなきゃ。」

すぐにカバンを手にして立ち上がりゾロの元へ行くシェリー。
反対の手には先程彼女がゾロに出した缶コーヒーが握られていた。

「お兄ちゃん、これ。」
「あ?」
「ちゃんと飲んでね、コーヒー。」
「別に戻しときゃいいって。」
「ダメ!コーヒーはそうさのきほんだよ。」
「・・・。」

どこをどうすればそうなるのかと内心思ってしまったゾロ。
しかし自分に向けているシェリーの笑顔には勝てず
コーヒー缶を受け取り事務所を後にすると、シェリーもまたレーンへと戻ったのだった。




「へぇ〜・・・先生が行方不明なんか〜。」



ゾロとシェリーが事務所を後にして数時間後。
ゾロがいない理由をシェリーが話した事からクリヤーの話になり
此処ベルメールの自宅では、夕飯を食べながら皆が話を聞き終えた所だった。

「・・・んで?何か分かったんか、ゾロ?」

彼女の作ったグラタンを食べながらルフィが続けてゾロに聞く。

彼がやって来た時シェリーがクリヤーの事を話しており
ゾロは彼女が話しているのを止めなかった為皆が知った・・・という訳である。



「警察の言ってた美術館の横流しってのはホントらしい・・・今の所証拠はないがな。
その美術品の運び屋がクリヤーじゃねぇかって話だ。」

「うそ・・・それホント、ゾロお兄ちゃん!?」
「話なだけでこっちも証拠はねぇけどな。」
「そうなんだ・・・。」

それを聞いて複雑な表情で俯いてしまったシェリー。
そんな彼女を察してゾロに声を掛けたのは隣にいるナミだった。

「でも、そうだって決まった訳じゃないんでしょ?」
「まぁな。明日また調べてみねぇと分からねぇよ。」

するとそんな2人に続いたのはサンジ・・・。

「あぁ・・・けどその運び屋の話なら俺も店で聞いたぜ。何処か特定の場所へ運んでるってな。
ライマー美術館にある半分は偽物だろうって話だ。」

彼はそう言うとすぐに、隣にいるシェリーの頭に手を置いた。

「大丈夫だシェリーちゃん。先生はそんな事してねぇさ。」
「うん・・・。」



そんなサンジの反対隣では、ウソップがピザを口にしている。

「れろろ・・・もしその話がホントだとするとだ、シェリーの先生は殺された事にならねぇか?」

「おおおおお!?」
「ホントですか、ウソップさん!?」

食べ終えた後続けて言った事で、チョッパーやビビだけでなく全員が彼を見た。

「もしホントならの話だ。よくあるだろ、口封じに殺すとかさ・・・それだよ、それ。」
「ありえなくはないね・・・。」

それを聞いてベルメールは頷いている。

「まぁ・・・館長は直前まで会ってたって話だし、可能性がなくはねぇが・・・。」

ゾロもそう考えていた様で、ピザを口にしながら続けてそう言った。

「ほうらら・・・アリバイはあってない様なもんだしな。」
「そうね・・・会ったのもワザとかも知れないわね。」
「そうですね・・・。」

ルフィ・ナミ・ビビも揃ってピザを食べながらそう言うと頷く。

「けどさ・・・もしそうなら何でシェリーの先生はいないんだ?」
「まぁ、遺体が見つかんねぇとなると考えられるのは1つだな。」
「・・・1つ?」

チョッパーだけでなく全員が再びウソップを見る。
しかしゾロとルフィは彼の言わんとする事が分かった様で
無関係を決め込んだ表情になっていた。

「壁だよ、壁。美術館の壁に遺体をだ・・・っ痛ぇ〜!」

次の瞬間ウソップは隣のサンジに思い切り殴られ
殴られた頭を押さえたウソップは涙目でサンジを見た。

「てめぇ、シェリーちゃん前に何て事言いやがる!」
「ずびばぜん・・・。」

そんなウソップに続いたのはゾロとルフィ。

「確かにそれもあり得るがな・・・美術館は無理だ。
1日で遺体を壁に埋める事は出来ても、同じ壁の内装には出来ねぇよ。」

「そうそう。別の場所じゃねぇか?」



「てめぇら・・・。」

ピザを食べながらさらっと言う2人を、眉を寄せ睨むサンジ。
シェリーの声が3人だけでなく皆に聞こえたのはその時だった。



「私・・・先生さがす!」



「探すって・・・。」
「明日学校休みだから、私先生さがす!」

ベルメールだけでなく他の皆も驚いたのは無理もない。

「ゾロお兄ちゃんは、明日先生が・・・っと・・・はこ・・・はこびやだったかをしらべるんだよね?」
「あ・・・あぁ・・・。」
「私、びじゅつかんに行ってかんちょうさんに会って、先生のこと聞いてくる!


そんな彼女に声を掛けたのはビビとルフィだった。

「ダメよシェリーちゃん、危ないわ。」
「そうだぞ。俺達は明日休みじゃねぇから待ってろよ。一緒に行こうぜ。」

「ルフィさん・・・。」
「だってよぉ・・・。」

ビビはすぐ睨む様に、いつもの癖が出たルフィを見る。
先生達の研修で休みになるシェリーと違い
ハイスクール方は通常通りに授業があるのだ。



「シェリーちゃんが行く必要はないよ。
そこのクソ野郎に任せておけばいいさ・・・少しは役に立つだろうからな。」

「サンジお兄ちゃん・・・。」

サンジはすぐにそう言って、シェリーに笑みを向ける。



・・・ところが。

「おい・・・少しってのはどういう意味だクソバーテン。」
「あ?そのままの意味に決まってんだろ、クソ野郎。」
「んだと・・・。」

とたんに今度はゾロとサンジが睨み合い、言い合いを始めてしまった。

「ったく・・・。」

その言い合いを皆が見てる中ナミは立ち上がり、2人に鉄拳を見舞う。

「・・・やめんかっ!」

「い・・・っ・・・。」
「っ・・・てめぇ、ナミ・・・。」

そして彼女は2人を見下ろしてすぐシェリーを見た。

「先生の事はゾロに任せればいいの、分かった?館長は犯人かも知れないのよ、危ないでしょ?」

「でも・・・。」
「わ・か・っ・た・・・?」
「は・・・はい・・・。」



あまりの迫力に、シェリーだけでなく他の皆も何も言えなくなってしまう。
やはりこういう時のナミに勝てる者は誰もいないのだった。




「じゃぁ、行って来る。お前達は大人しくしてろよ。」



ナミの鉄拳が見舞われてから日は明け、場所も移りゾロとチョッパーの自宅玄関先。
ベルメールの勧めでこちらに泊まったシェリーは3人と朝食を済ませ
ハイスクールへと向かったナミを見送った後
クリヤーの事を調べに出掛けるゾロも見送る為、玄関先へとやって来ていた。

「分かってるぞ。」
「うん。」

笑顔で言う2人を見下ろして自宅を後にするゾロ。
見送った2人・・・チョッパーは再び部屋の方へ戻り、シェリーは逆に靴を履き始めた。



「シェリー、何処行くんだ?」
「ともだちのお家にあそびに行ってくる。」
「・・・友達の家?」
「うん。アンちゃんって言うの。」
「そっか。気を付けて行くんだぞ。」
「は〜い。」

荷物のトートバックやカバンはそのままに2人の自宅を出たシェリー。
彼女は階段を降りると、すぐにビルを見上げた。

「ゾロお兄ちゃん・お姉ちゃん・チョパ君、ごめんなさい。」

そして彼女が向かったのはアンの家とは別の方角。



「あぁ・・・美術館ならそこのバス停から乗って3つ目の停留所だよ。」
「ありがとう。」
「えらいね、パパやママと行くのかい?」
「うん。今日学校休みだからいっしょに行くの。」

美術館へ行く事を決めていた彼女は、まず最初に交番に行き警官から行き方を聞くと
交番の先・・・右斜め前に見えるバス停へと向かった。

「お金よしっと。」

カットパンツのポケットから財布を取り出しお金がある事を確認すると、再び彼女はポケットへ仕舞う。
このお金は出張へ行く前ロビンから貰ったものだった。

「あ・・・きた。」

バスがやって来たのはそれからすぐで、バスに乗った彼女は前の方の席へ。
そんな彼女に声が聞こえてきたのはバスが発車した直後だった。



「やっぱり美術館へ行くつもりだな。」
「・・・!?」

驚いて見上げると、そこにいたのはチョッパー。
実は彼はシェリーが出た後彼女が美術館へ行くのではないかと気付き
洗い物を途中でやめて追いかけてきたのだ。

「チョパ君・・・。」
「ゾロやナミがダメだって言ったろう。」
「・・・。」

バスの乗車口は後ろな為、気付かなかったシェリーは目をパチクリさせている。
そんな彼女を見たチョッパーは言いながら隣へ座った。

「ごめんなさい、どうしても先生見つけたくて・・・。」

シェリーはそう言って俯いてしまう。

「バスはもう出ちゃったから仕方ないけどさ・・・。」
「チョパ君?」

しかしチョッパーがそう続けたので、すぐにシェリーは彼を見た。

「その代わり館長に話を聞くだけだからな。聞いたらすぐ帰るぞ。」
「うん!」

それを聞いてすぐに嬉し顔になるシェリー。
チョッパーはそんな彼女を見るとすぐに言葉を続けた。

「それに今日診察が休みじゃなかったら一人だったんだぞ。
ナミやビビも言ってたろ・・・危ない目に遭ったら大変なんだぞ。」

しかしシェリーはチョッパーを見たまま首を傾げる。

「う〜ん・・・でも危ないってどんなふうに危ないのかな〜?」
「そういえば・・・。」

チョッパーもまた、自分で言ったものの良く分からないらしく彼女同様首を傾げた。

「私、お兄ちゃん達が危ない目にあった話って聞いたことないから分からない・・・。」
「俺もだ・・・。」



危機の意識が全くない2人は、実感のないまま『ライマー美術館』へ。

入館料を払い入るとそこには数々の美術品が展示されており
チョッパーはすぐに入口で貰ったパンフレットを広げ地図を見た。

「この地図じゃ館長の部屋が何処だか分からないな・・・。」
「うん・・・。」

この美術館は『イースト・ルーム』・『ウエスト・ルーム』にそれぞれ5つずつ展示室があり
2人が今いるのはイースト・ルーム側。
すぐに館長に会おうと考えたチョッパーは一旦パンフレットを閉じた。

「あ・・・もしかしたらここにいるかも。」
「そっか。館内にいるかも知れない・・・。」
「うん。」
「よし、取り敢えず行ってみよう。」

シェリーの言う通り館内にいるかも知れないと考えたチョッパーは
すぐに彼女と共に館内を見て回り始める。



・・・そんな中。



「・・・!?」

ウエスト・ルームの展示室へ差し掛かった時チョッパーが足を止めたので
隣を歩いていたシェリーも合わせて足を止めた。

「チョパ君?」
「シェリー・・・昨日シャンクスと会ったんだよな?」
「うん。」
「その時凶器の事言ってたか?」
「うぅん・・・言ってなかったけど・・・。」

そんなチョッパーが見ているのはケースの中にある展示品。
その展示品は柄の部分に龍が形どられている短剣だった。



「シェリー・・・やっぱり先生は殺されてるかも知れない。」
「え・・・。」
「もしかするとこの美術館の中にいるかも知れないぞ。」

聞いてすぐ、シェリーは表情を固めてしまう。

「それ・・・昨日ウソップお兄ちゃんが言ってた・・・。」
「あぁ。」
「そんな・・・でも、どうして?」
「あの短剣、血を拭いた痕がある。」
「え・・・。」

チョッパーがそう言ってすぐ短剣を見るシェリー。
しかし彼女にはその血を拭いた痕は分からなかった。



「それホント、チョパ君!?」
「あぁ。」
「でも、どこの壁も同じだったよね?」

「ナミが昨日言ってたろ?館長は犯人かも知れないって。もしかしたら館長の部屋かも知れないぞ。」

「館長の部屋・・・。」
「あぁ。展示室と違って人目に付かないからな。」

それを聞き、シェリーはすぐチョッパーの腕を掴む。

「・・・探そう、チョパ君!」
「おおお!?」
「もしそうなら先生この中にいるんだよね?私達が見つけなきゃ!」
「み・・・見つけなきゃって・・・。」

「ゾロお兄ちゃんは今先生の事調べてるし
話しただけじゃシャンクスの刑事さんも来てくれないよ。」

「そ・・・そうだな・・・。」



シェリーに言われ互いに頷くと、チョッパーは再びパンフレットを開く。


「俺達がいる展示室はここだろ?その間館長室も無くて館長にも会わなかった
・・・だからこの先に館長室へ行く場所があるか、館長がいるはずだぞ。」

「うん。」

「とにかく館長に会ったら先生の事を聞くだけだからな。
館長室へ行っても館長がいなかったらすぐ戻るぞ。」

「うん、分かった。」

再び頷くシェリーを見ながらパンフレットを閉じるチョッパー。



そんな2人が『関係者以外立入禁止』という札の掛かったドアを見つけたのはそれからすぐだった。



「ここだ・・・。」
「この先に館長室があるの?」
「多分そうだぞ。」

互いに頷き、チョッパーがドアノブに手を掛ける。

「お!?」
「あ・・・。」

鍵が掛けられていると思われていたドアはあっさりと開き、2人は再び顔を合わせた。

「な・・・何で開いてるんだ!?」
「もしかしたら、館長今展示室の方にいるのかも知れないよ。」
「お・・・おぉ、そっか・・・。」

ゆっくりと覗き込むとそこには通路を挟み左右にいくつか部屋があり
2人はすぐに手前右側にあった『ディレクター・ルーム』というプレートに気付いた。

「行こう、チョパ君。」
「い・・・行こうって・・・。」

すっかり行く気になっているシェリーを前に、チョッパーはゾロの様に眉を寄せる。

「・・・行くだけだぞ。部屋を見たらすぐに戻るからな。」
「うん。」



そしてすぐに『ディレクター・ルーム』へと入った2人・・・。
しかし部屋は特に変わった所は無く
窓際にデスクがあり中央には来客用らしきソファーとテーブル
・・・壁には書棚があったり絵画が飾られているだけだった。

「何もないね・・・。」
「あぁ。壁も違ってる所はないな・・・。」

言いながら部屋を見渡すシェリーとチョッパー。
しかしシェリーはすぐ部屋の隅に置かれている花瓶に気が付いた。



「ねぇ、チョパ君・・・何であの花びん花が入ってないんだろ?」
「さぁ・・・。あそこまで大きい花瓶なら花は入れないんじゃないか?」
「・・・。」

彼女はすぐその花瓶の前まで行くと、覗き込んだり周りを見始める。

「おい、何やってるんだよ!もぅ戻るぞ!」
「・・・チョパ君、ちょっと来て!」
「・・・?」

シェリーがチョッパーを呼んだのは直後の事で
隣にやって来たのを見ると、すぐに彼女は床のフローリングを指差した。

「ここだけちがうの。線が入ってないでしょ?」
「ホントだ・・・。」

どうやら彼女はフローリングの溝の事を言っているらしい。
シェリーの言う通り、確かに花瓶が置かれている周辺のフローリングには溝が無く
色も他の場所と同じ茶色ではあるが多少違っている。

「もしかして、此処・・・開くのか!?」
「え・・・ホント!?」

すぐにチョッパーは見上げたが、そこには壁があるだけだった。

「何処かにスイッチがあるかも知れないぞ。」
「え・・・スイッチ?」

シェリーもすぐに見上げて部屋を見渡すも、スイッチらしきものは見つからない。

「あ・・・そうだ!」

次に彼女が気付いたのは窓際のデスクで
デスクを調べ始めてすぐ、再びチョッパーを呼んだ。



「チョパ君、あったよスイッチ!」
「ホントか!?」

彼女が見つけたスイッチはデスクの椅子の裏にあり
2人は顔を合わせて頷くと、花瓶をどかしチョッパーがスイッチを押す。



「「・・・!?」」



すると直後花瓶のあった部分のフローリングが左右に開き階段が現れた。

「おおおおお!?」
「すごーい!」

階段横には別のスイッチもあり、屈んだチョッパーがスイッチを入れると電気が付く。
それを見た2人は再び顔を合わせると、目の前の階段を降りていった。



「けっこう古いみたい、このかいだん。」
「多分、この美術館が出来た時からあったと思うぞ。」

2人の降りた階段の先にあったのは12畳程のベニヤ張りの部屋。
見回した2人が目にしたのは、きちんと整理され置かれている何枚もの絵画や
棚に陳列されたいくつもの美術品だった。

「これ・・・。」
「サンジが昨日言ってた事、ホントだったのか・・・。」
「・・・?」

首を傾げるシェリーを横に再び部屋を見渡すチョッパー。
次に彼が気が付いたのは、電動ドリルとバケツ・・・そして大きな袋3枚にケースだった。



「シェリー!すぐに壁を叩くんだ!」
「・・・え?」
「いいから!音の違う所を教えてくれ!」
「う・・・うん・・・。」

チョッパーに言われるままベニヤの壁を叩くシェリー。
彼女が音の違う場所を見つけたのと、チョッパーがドリルを手にしたのは同時だった。

「チョパ君、ここ!ここ音がちがう!」
「分かったぞ!」

すぐ彼女にどく様に促し、チョッパーはドリルのスイッチを入れると
シェリーが教えた場所・・・階段横の壁にドリルを通す。



「「・・・!?」」



ベニヤだけでなくその奥のコンクリートも崩れ落ち
2人が目にしたのは人間の手だった。

「やっぱり・・・ウソップが昨日言ってたのはホントだったんだな・・・。」

すぐにドリルのスイッチを切り床に置くと、彼はすぐシェリーを見る。

「シェリー、大丈夫か?」
「う・・・うん・・・。」

シェリーはチョッパーに声を掛けられ何とか返事をしたものの、身体を強張らせていた。

「こ・・・この手・・・。」
「お?」
「この手・・・左手だと思う・・・。このゆびわ・・・先生がしてたけっこんゆびわと同じ・・・。」
「おおお!?」

それを聞き、チョッパーは再び目の前の手を見る。



「困りますね、勝手に壁を壊しては。」
「「・・・!?」」

見知らぬ声が2人に聞こえたのは直後の事・・・。
その声に驚いた2人が目にしたのは、短髪で細い体型の男だった。

「・・・また直さないといけないじゃないですか。」

男は2人に近づいてくるので、チョッパーはすぐシェリーの腕を取ると
咄嗟に部屋の奥・・・バケツや袋、ケースが置かれている場所へと移動する。
そんな2人の様子を見ていた男は壁横のスイッチを押した。

「まぁ、これで逃げられないですけどね。」
「上の入口を閉めたのか?」
「察しがいいな・・・その通りだよ。」

その様子を見ていたチョッパーは再びゾロの様に眉を寄せると男を睨み付ける。

「お・・・お前、館長だな!?」

「えぇ。部屋に子供が入ったと警備員から連絡があり来てみれば
この部屋へ続いてる階段が開いてるじゃないですか
・・・まさか此処を見つけられるとは思いませんでしたよ。
一体此処に何しに来たんです?」

「せ・・・先生をさがしに来たのよ!」

その後ろでは、同じくシェリーが睨む様に館長を見ていた。

「先生?あぁ・・・こいつの事ですか・・・。」
「・・・。」

そんなシェリーを見ながら、館長は悪びれる事なく左手の親指を隣へ向ける。
そこは先程まで2人のいた場所・・・クリヤーの手が見えている場所だった。

「美術品の中に血の痕が残った短剣があった
・・・シェリーの先生をその短剣で殺してそこに埋めたのは、やっぱり館長だったんだな!」

しかし館長は途端に表情を変える。
チョッパーはそんな館長に気付きながら言葉を続けた。

「どんなに綺麗に拭いて洗ったって、どうしても刃の部分は巧く落とせない
・・・その部分が霞んで見える時があるんだ。
それにルミノール反応で先生の血液型と一致するはずだぞ。」

「そうですか・・・まさか刃の部分に痕跡があったとは思いませんでしたよ。」



「まさか、警察があの短剣を調べてもいい様にワザと置いたままにしたのか!?」

「えぇ。万が一ルミノールを調べられても私は直前まで会ってましたからね
・・・あの短剣が使われた事は疑問に思われるかも知れませんが
その間会っていた私に疑いは掛かりませんから。」



「な・・・何で先生を・・・!」
「それは君達に言っても分からないでしょう。」

後ろにいるシェリーも睨んだまま館長に言う。
館長はそれを聞き見下ろしたまま言ったのだが
チョッパーはすぐに言葉を続けた。



「美術品の横流し・・・。」
「・・・!?」

「昔何に使われてたかは知らないけど
この部屋に目を付けたお前は此処に本物の美術品を持ち込んで横流しした。
偽物を作ったのは取引相手だな・・・?」

「・・・。」

「じゃぁ昨日ゾロお兄ちゃんやサンジお兄ちゃんが言ってたはこびやって・・・。」
「あぁ。多分シェリーの先生はその取引相手の所へ運んで偽物を預かってたんだ。」

再び館長を見たチョッパーはシェリーと共に同じく睨み付ける。
館長はそんな2人を変わらずに見下ろしていた。



「君達がそこまで知ってるのは、あのゾロの関係者だからか・・・納得がいったよ。」
「ゾロだけじゃない、警察も知ってるぞ。」
「・・・そんな事知ってるさ。」
「・・・おおお!?」

何一つ変わらぬまま言う館長を見て、チョッパーだけでなくシェリーも驚く。

「この部屋は美術館を造った前の館長がアトリエとして使ってたみたいでね
・・・すぐに利用する事を思いついたよ。
知ってたのは俺とこいつだけ・・・ここに美術品を置いておけば警察に見つからないと思ってたけど
まさか君達に見つかるとは思ってなかったよ。」



「・・・先生を殺したのはどうして!?」
「用が無くなったからさ。口封じってやつ。」
「「・・・!?」」

そして館長が昨日のウソップと同じ事を言った為、2人は顔を合わせた。

「今日ここにある美術品全て捌く事になったから、必要無くなったんでね。
いい加減潮時だったし、最後にしようと思ったわけ。
だから今日は向こうが来てくれるんだよ・・・全部持ってってもらう必要があるからね。
偽物に気付かれた時はどうなるかと思ったけど
運び屋の話を持ちかけて正解だったよ
・・・まさか快く引き受けてくれるとは思ってなかったけどね。
まぁ・・・無理にでも引き受けて貰うつもりだったけどさ。」



館長は言いながら、先程チョッパーが手にしていたドリルを手にする。
それを見ていたチョッパーは、反射的に足元のバケツを手にしていた。

「さてと・・・君達にも話しちゃったし、一緒に入ってて貰うか。」
「「・・・。」」

直後重みを感じたチョッパーがバケツを見ると、そこに入っていたのは固まったセメント。
どうやら館長が使った時のまま固まったものらしく
その後チョッパーは館長を見たまま小声でシェリーに声を掛けた。



『シェリー。』
「・・・?」
『すぐにこのバケツを持つんだ。早く!』

チョッパーに言われ咄嗟にバケツの取っ手を持つシェリー。
そのままチョッパーはなるべく口を動かさない様に言葉を続けた。

『とにかくこのバケツを思いっ切り投げて館長にぶつけるぞ。
その隙にスイッチを押して上へ行くからな。』

『うん。』



そんな2人だけでなく館長にも、上からの音が聞こえたのは次の瞬間。
それは先程館長が閉じた入口が再び開いた音で
その音を聞き足を止め、すぐに見上げた館長を2人は見逃さなかった。



「「せーのっ!」」



同時に投げたバケツは見事館長の頭に命中し
倒れ込んだ館長はそのまま気を失う。

2人はゆっくりと近付き倒れている館長を覗き込むと、すぐに顔を合わせ手を取り合った。

「やったぁ、チョパ君!」
「おぉ!俺達やったぞ!」



そんな2人に聞こえて来たのは、よく知っている低い声。

「お前等・・・。」

「・・・ゾロ!」
「ゾロお兄ちゃん・・・!」

降りて来たのはクリヤーの事を調べていたゾロで、2人はすぐ彼の元へ駆け寄った。



「椅子のスイッチに気付いたんだな、ゾロ。」
「あ・・・あぁ・・・。お前等・・・なんで此処にいんだよ・・・。」
「それより警察!警察だぞ、ゾロ!」
「あ?」
「シェリーの先生はやっぱり館長に殺されてたんだ!」

早口で言うと、チョッパーはすぐに右手を壁に向ける。

「どうやらそうみてぇだな・・・。」

その先にあるクリヤーの左手を見ながら言うと、ゾロは再び2人や館長を見た。

「ゾロ、早く!」
「お兄ちゃん、早く!」
「あ・・・あぁ・・・。」

見上げている2人に促され、警察を呼ぶ為携帯を取り出すゾロ。

「・・・とにかく警察呼んだら詳しく話して貰うからな。
ったく、勝手に来やがって・・・俺は知らねぇからな。覚悟はしとけよ。」

「「・・・。」」



そのまま眉を寄せ言うゾロを前に再び顔を合わせる2人。

「・・・とにかく行くぞ。」
「え・・・館長このままにしておくのか?」
「あぁ。すぐに起きやしねぇだろ。」



そんな2人を連れ部屋へと戻ったゾロが警察を呼んだのはそれからすぐで
警察もまた6分程で到着したのだった。




「何て危ない事したんだい、2人共!」
「そうだぜ、シェリーちゃん!」
「しょうのない子ね・・・。」



警察により無事館長は逮捕され
クリヤーの遺体も鑑識により壁から取り出されてから数時間
・・・3人は事情聴取を終え昼頃レーンへ戻ったまでは良かったものの
店にいたベルメール・ロビンを迎えに行き戻ったサンジ・出張から戻ったロビンは
ゾロから今までの2人の話を聞き当人達を見下ろしていた。



「「ごめんなさい・・・。」」



3人は横一列に並び見下ろしている為
チョッパーもシェリーも謝ってすぐ黙り込んでしまう。

そんな2人に助け船をだしたのは、カウンターに座っているゾロだった。

「まぁ、いいんじゃねぇか?2人も充分分かったろ。」
「てめぇ、よくそんな無責任な事言えるな・・・。」
「自分で経験しねぇと怖さは分からねぇからな。」
「あのなぁ・・・知ってどうすんだ、知って!」

そのまま昨日の様にゾロとサンジは言い合いを始めてしまう。



「でもホントに良かったよ、何ともなくて・・・。」
「そうよ、シェリー。もぅこんな危ない事はしないで頂戴。」
「うん。ごめんなさい、店長・お母さん。」

その横ではシェリーがもう一度2人に謝っていたのだが
気付いたのか、ロビンは振り返るとゾロを見た。

「けど探偵さん・・・どうして2人のいた場所が分かったの?」
「別に2人がいたのを知ってた訳じゃねぇ・・・。」

ロビンに聞かれた事で言い合いを止めたゾロは、すぐにそうロビンに言う。



「・・・あ?どういう事だよ?」

「運び屋かどうかを調べるには取引相手を調べんのが一番だろ
・・・だから俺はまずその相手を探したんだよ。
思った通りマフィアと繋がっててな・・・相手はファイロの連中だった。
奴等から害者が運び屋な事と今日最後の取引がある事を聞き出してな
・・・館長を探ろうと思って美術館へ行ったって訳だ。
そっからは適当に繕って館長室へ通して貰って、後は話した通りだ。」



サンジに続いてゾロは言うと、そのままチョッパーとシェリーを見る。

「椅子のスイッチはその後気付いたんだな?」
「あぁ。丁度倒れてたから変だと思ってな。」

「成る程ね・・・。」

その2人の後ろでは、ベルメールが納得したのか呟くように言う。

「・・・とにかく、いいかい2人共?もぅ絶対にこんな事するんじゃないよ。」

「は〜い。」
「分かったぞ。」
「・・・ならよし。」



そしてそのまま続けて言うと、返事をするシェリーとチョッパーの頭に手を置く
ベルメール。

「じゃぁ今ランチ作ってあげるから。2人共お腹空いたろ?」

「うん!」
「おぉ!俺腹減ったぞ!」



「あいよ。」



嬉し顔で自分を見るシェリーとチョッパーを見た彼女はカウンター奥へ戻ると
サンジとロビンにもカウンターに座って貰い、ランチを作り始めるのだった。







FIN





 

<管理人のつぶやき>
今回はチョパ・シェリのチルドレン編。シェリーは小さいながらも正義感が強い様子。大切な先生の危難?!とあっては、じっとしてられません。その行動をフォローするようにチョッパーが付き添います。途中までは完全にシェリーのペースで、チョパは彼女についていくだけ(笑)。でもいざという時には男気を発揮です!無事にピンチを乗り越えました。わずかなナイフの痕跡から、凶器も発見するなんて、さすがドクター・チョッパー!今回、保護者的な役回りのゾロがなんか微笑ましかったですv

みづきさんのパラレルSS「レクター街シリーズ」の第6弾でした!
みづきさん、かわいい人たちの冒険作品をどうもありがとうございました!

レクター街のゾロ探偵はもっとカッコイイはずだ、という方は「
lecter street」を、
ゾロの留守中にチョパが大活躍する話を、という方は「
house sitting」を、
頭脳明晰なルフィなんて信じられないという方は「
School Ghost Story」を、
なにがなんでもサンジよ!という方は「
encounter」を
探偵達の彼女(ナミ&ビビ)の名推理を見たいわ、という方は「
two people inference」を読んでみてね。

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